偽チョココロネ

ポッキーのチョコ部分をぜんぶなめつくしてからスナック部分を食べる人はプリッツの塩もなめてから食べるんですかね。どうですか? 自分はふつうに食べます。ふつうに食べるとおいしいですよ。小学生のころ、家によくチョココロネがあってチョココロネばっかり食べていました。チョココロネをとがったほうから食べはじめると、最後にチョコがたくさんになってしまうので、それをさけるためにとがったほうをちょっとちぎって、うしろのチョコにつけながら食べるのがチョココロネの正式の食べ方です。でも、自分はそういうのをちょっとめんどくさがるほうなので、とがったほうからふつうに食べてよく手がチョコだらけになっていました。それはともかく、チョココロネのうしろのチョコのところがちょっとコーティングされてるっぽいチョココロネがあるんですけど、もしかしたらそれはあんまり一般的なチョココロネじゃないかもしれないんですけど、そのチョココロネは中に入ってるやつががなんか「え?チョコ…?じゃない!」みたいな感じのチョコっぽいクリームっぽい何かが入っててそれはなんかちょっとすっぱいような感じがする。そういうやつがあるんですよ。知らなかった人はいま覚えてください! でも近所のパン屋限定のチョココロネなのかなあ。妹に訊けばたぶん「あ、あれね!あのまずいやつね!」って一発なんですよ。でも自分はあんまり妹と2人で話したりとかあんまりしないのでそういうリアクションじゃないかもしれない。でも結局、そのチョココロネみたいなやつは見た目はチョココロネなんだけど、チョココロネみたいなおいしいやつじゃなくてまずいということで、まずいんだけどいまちょっとあのすっぱい感じのなんか変なやつがちょっとなつかしくなっててまずいけど食べたい。

バレンタイン

「たとえば片想いの人がいるとして、それでバレンタインにチョコをあげるのってどうなのかな。どうっていうかさ、その人からしてみたら片想いされてるのなんて知らないだろうから、きっとたぶんおどろくんじゃないかな。うん。うれしいとか迷惑とかさ、その前にまずおどろくと思う。それで、チョコあげるほうからしたら、おどろかれるのは本意じゃないっていうか。ただ、好きっていうか、あ、べつにわたしが好きっていうことじゃなくて、まあ、そうじゃないとも言いきれないんだけど、とにかく好意みたいなのが伝わればいいと思ってるわけだから、うん、まあ、わたしのことじゃないんですけど、とりあえず、おどろかれるのはよくない。正常な判断もできなくなるだろうし。だからやっぱりチョコを渡すときはチョコを渡すよっていう感じをあらかじめ出しといたほうがいいよね。うん。わたしもそう思っていた。でもさ、でもさあ! そんなうまくいかなくない!? なんていうか、それでうまくいくんだったら、もっと早くうまくいってるよ!みたいな。あー! だよね! 知ってる! わたし知ってる!」


わたしが「とりあえずあげてみたら?」って言ったら、Iさんは「だよね!」って走っていった。

お参り

Gさんは財布や携帯をよくどこかに忘れてきてしまうらしい。友人Kに相談したところ、天神さまにお参りするがいいと言う。わたしはお参りにいくことにした。ひとりはさびしいと思いKも誘ったが、Kは用事がある用事があると執拗に断るので、わたしはしかたなくKを台車に乗せた。

天神さままではバスで行った。Kは台車に乗せられたあとしばらくゆらゆらゆれていたが、バスを待っている間、歌いながらわたしのわき腹を何度もつつくので困ってしまった。100回まではがまんしたが、だんだんいやになってきてやめてと頼むとKは「バスが来たらやめる」と言い、わたしはしぶしぶ了承した。それから30分してバスが来た。バスの中で服をまくってわき腹を見ると、つつかれたところが少し赤くなっていた。わたしがにらむとKはふふふと笑った。赤くなった模様がなんとなく猫に見えたので、わたしもつられてふふふと笑った。Kにはそういうところがある。

天神さままでの道はお祭りの準備でにぎやかだった。入り口の鳥居のそばにジンジャーエール売りのおじさんがいて、わたしとKは瓶のジンジャーエールを買った。瓶には『元祖ジンジャーエール』と書いてあったが、おじさんは「本当は元祖じゃないんだ。黙っていておくれ」とこっそり教えてくれた。わたしがジンジャーエールを飲みながら「おじさんが黙っていればばれなかったのに」と言うと、Kは飲み終わったジンジャーエールの瓶をなでながら「これは普通のより甘いから本当の元祖ジンジャーエールかもしれない」と言った。わたしはどちらが本当かわからなかった。

本堂のわきのお店に失せ物のお札があったのでそれを買うことにした。Kはわたしよりたくさん買った。このお札はまだなくしてないものにも効き目があるのだろうか。2人で神社の作法を無視してめいめい好き勝手にお祈りしたあと、またバスに乗って帰った。バスの運転手が行きと同じ人だったので、わたしが軽く会釈をしたら運転手も会釈をして他のお客も会釈をしてKは会釈をしなかった。少しおもしろかった。

落とし物を見つけたとき

道で落とし物を見つけたらどうしますか? 交番に届ける? でもちょっとめんどくさいな。時間かかりそうだし。どうしよう。そういうとき人はある決まった行動を取るようです。今回、最新の研究結果で明らかになりました。そういうとき、だいたいの人は落ちていた場所のすぐそばにある、目の高さの塀とかなんかそういうところに落とし物を乗せるんですよ。そうすると、落とし物に気づかず歩いてきた人が落とし物を踏むこともないし、落とし主が探しにきたときも見つけやすい! まあ、落とし物をした人は下ばかり向いて探しているかもしれないので実際に見つかりやすいかどうかはよくわからないんですけど、落とし物を見つけた人がそういう行動を取るらしいということがわかっていれば、落とし物をした人も探すときたまにちょっと上を向いたりして、なんかいろいろいい感じになるといいですね。

もじもじ

カラオケに行ったらお店の人が「こちらこの国のトイレになります」とか言っていたので、(とうとう日本にもトイレの国の王様がやってきやがった!)と思いました。たぶんトイレの国の王様ははじめての日本にとまどいつつ「この国いちばんのトイレを見せてもらおうか」とか言ったに違いないのです。自分は直感的に(これは究極のトイレVS至高のトイレの流れ!)と思って、王様っぽい人のところに走っていって「あんたはそんなトイレじゃ満足できないだろう。3日待ってくれ。3日後、究極のトイレでおしっこさせてさしあげますよ」って言ったら、王様っぽい人は足をもじもじさせていたので、なんか悪い気がしてきて「ごめんね」って言ったら、うんうんってうなずいて急いでトイレに入ったので、自分は(こういう素直なところが国民から信頼されているのだろうな)と思いました。