アラスカ日記11

運転手の人はトラックを何度もバックさせた後、やがて急発進して走り始めました。自分は運転手の人が恐かったので、何も言わずにじっとしていました。シートはふかふかしていました。運転手の人がこっちを見て何か質問したようでしたが、自分はうまく答えられなくて、そのうち疲れて眠ってしまいました。

トンネルを抜けるとそこは雪国でした。運転手の人は、お前はこれから海に出てマグロを釣ったりするだろうと言いました。自分は力が弱いのでそういったことはできないかもしれないと言いました。運転手の人はとても困った顔をしました。運転手の人は、自分も上から言われてやっていることだからと言って少し涙を流しました。自分はそれを見てこの人は本気で言っているとわかりました。自分も少しだけ泣きました。運転手の人は手を握ってくれました。優しい人だと思いました。恐い人ではありませんでした。

しばらくして港に着きました。ここが本当のアラスカなのだと思いました。本当のアラスカは雪がたくさん降っていて厳しい寒さです。自分は服をひとつしか持っていなかったので、とても寒い思いをしました。運転手の人は船長と話をしていました。船長の帽子には雪がたくさん積もっていました。船長が話している声が少し聞こえました。慰み者と言っていました。自分はまた少し不安になって、これからのことを考えました。おじいさんのことを思いました。犬の泣き声が聞こえました。