アラスカ日記12

息つく間もなく船は出港しました。自分のほかにトラックの運転手の人も船に乗り込んだようでした。船には屈強な男たちがたくさん乗っていました。男たちは出港直後だというのに自主的にトレーニングを始めていて、それぞれ思い思いのトリックを決めていました。多くの人は早く自分なりのフィッシングスタイルを確立しようと躍起になっていましたが、中には慣れた様子でフットワークを踏み、黙々とシャドウフィッシングに汗を流す人もいました。自分は少しだけやっていけそうだと思いました。

しかし、そう簡単に事は運びませんでした。マグロがいるのはもっとずっと遠くの海でそこに着くまで何週間もかかるというのです。それまでの間は自分たちの食料にするための魚などを適当に獲るという方針のようでした。いま船が進んでいる辺りはエビがよく獲れるということなので、男たちは早速エビを獲りはじめました。

エビ獲りの道具は2種類ありました。1つは釣竿でもう1つは網です。みんな網がいいと言いましたが網の数には限りがあるので船長がみんな仲良くと言ってくじ引きの箱を出してくれました。男たちはわあっと箱に群がり、あっという間に箱はバラバラになりました。箱の破片を多く持っている人が優先的に網をもらえるルールのようです。自分はエビが好きではないのでどちらももらいませんでした。

たくさんの男たちがエビを獲るために必死になっていました。ほとんどが小指のつめくらいの大きさのエビでしたが、たまに握りこぶしくらいの違う種類のエビが獲れることもありました。そんなとき男たちはこぞってエビの数だけ幸せになれるとはしゃぐのでした。自分は、エビは好きじゃないけどそうやってはしゃぐのは楽しそうだなと思いました。