ライオン

なんかあっついなぁとか思って、じゃあ走っとけみたいな感じで草原走ったの。速く走った。そしたら暑い暑いとか言ってライオンがいたの。ライオンちょっとビクッてしてた。わたしも突然でびっくりしたから「ライオンですか?」って訊いたの。そしたら「違う…」だって。どっからどう見てもライオンなのに。たってがみふっさふさなのに。イラッときたから「え、なに!?」って聞き返しちゃった。ライオン見事に口ごもって「ラ、ライオンじゃありません…」とか言うし。ライオン〜。よく見たら弱そうなライオンでガリガリにやせてるの。それで話を聞いてみたらなんか馬?とかいうのになりたいんだって。わたしは馬ってよく知らないんだけど。馬とかあんまり興味なくてごめんねって思った。それで馬は草しか食べないらしくてライオンもそれを真似して草しか食べてないんだって。だからやせちゃってるんだ。へーとか思ってたら今度はライオンが「君はなに?」とか訊いてくんの。どっからどうみても鹿でしょうが。「鹿!」って言ったら「ほほう、鹿ねぇ」とか言っちゃって。なんかニヤニヤしてる。気持ち悪いなあ。それでなんでかわかんないけど、そのあと一緒に草食べにいくことになったんだよねぇ。それをきっかけにちょくちょく会うようになってさー

ってここまで平静を装って書いてみたけど、封印したい思い出…。馬て。鹿て。まあ結局、いまじゃ一頭のウサギを仲良くはんぶんこにして食べる立派なバカップルなんですけど…。