アラスカ日記6

おじいさんと話し合って、太陽に向かって歩くのはやめました。いつまでも同じ場所ばかり歩いている気がするし、首がとても疲れるからです。歩いている途中で車が通りそうな道を見つけたのでその道を歩くことにしました。歩いていると30分くらいで車と2台すれ違いました。自分は、この道には何かがあると確信しました。ずうっと歩いていても疲れる気がしません。

遠くのほうにビルのような大きな建物が見えた頃、道の脇に女の人が立っていました。その人はマッキーで落書きしたようなダンボールを持っていたので、自分はアラスカにもジプシーがいるんだと思いました。しかし、おじいさんは違う考えのようでした。おじいさんは、あれはあいのりだなと言いました。おじいさんが道の脇に行くので自分もその後に従うと、すぐにピンク色のワゴンがやってきました。そのワゴンは女の子の近くでとまり、中から数人の男女が出てきました。立っていた女の子は急に笑顔になって、ダンボールを見せながら何かを言っていました。おじいさんはなんだか興奮しているようでした。

ワゴンが女の子を乗せて出発すると、おじいさんは、あの女の子のニックネームはなんだろうと言い出しました。自分はいいニックネームが思いつかなかったので適当にメガネ犬じゃないかと言いました。おじいさんは、はしゃいでグッジョブと言いました。自分は得意になって再び歩き出そうとしたのですが、おじいさんはその場に立ったままワゴンが去った方向を見ていました。そして、自分は歩くためにこの旅に参加してるわけじゃない、ここには恋愛をしに来てるんだとつぶやきました。おじいさんの気持ちが痛いほど伝わってきました。