アラスカ日記5

旅の目的は見つかりません。毎日太陽に向かって歩いているのですが、昨日もおとといも歩いた道をまた歩いたりしています。歩きながら考えてみたところ、ただ座っているだけで太陽は近付いてまた離れていくのだから歩いても歩かなくても同じじゃないかという気がしました。そのことをおじいさんに話すと、おじいさんは難しい顔で考え込んでしまいました。

おじいさんが考え込んでいるので、自分は自分の考えが正しいかどうか座って確かめることにしました。座ってからしばらく経つと太陽は自分の真上に来ました。ここまでは予想通りです。もうしばらくすると太陽は自分から離れていきました。やはり自分の考えは正しかったようです。つまりもう歩かなくてもいいのです。自分はそのことをおじいさんに話しました。するとおじいさんは、毎日歩いて足が疲れていたからそう思ったんじゃないかと言いました。確かに自分は足が疲れていて、もう歩きたくないと思っていたので心を見透かされた気がしました。おじいさんは、自分はいままで座ってばかりだったからこれからの人生は歩いて過ごしたいと言いました。自分はおじいさんの意外な一面に少し驚きましたが、おじいさんが歩くなら自分も歩きたいと言いました。おじいさんは笑って、少し休んだらまた歩こうと言いました。