室外機

芸能人のみなさんハワイは楽しかったですか? 自分は風邪をひいていてなんだかよくわからないままヘイポーがやたらとこわがっていました。そして今年こそは日記を毎日3回書きたいです。書きたい姿勢を見せていきたい。自分の体も肉体的にピークを迎え精神的にもわりとピークでクライマックスが差し迫ってきたかんじがしますので、余生のこととかも考えつつ日記を書いていきたいです。今年もよろしくお願いします。

うちのエアコンはなんか室外機が外にある変なやつなんですけど、でも、いま書いてて思ったけど室外機が外にあるのはべつに変じゃないかもしれない。でもまあ、ちょっと変なやつでなんかパイプがついてる。それでそのパイプがこう、なんかこういうかんじに外の壁をこうなってて簡単にいうとだいたいそういうかんじなんですけど、そのパイプから水が漏れてて下の歩道に水たまりができるくらいになっちゃって、下の階の人からも水が漏れてますよっていう手紙をもらったりして、自分はそれに大層心を痛めていてできることならなんとかしたいという気持ちでいっぱいだったんですけど、世の中には自分の力だけではどうにもならないことがあるので大変だなあと思っていました。

そんな日々に倦み疲れていた私は、ある晴れた日に見知らぬ男に誘われ見知らぬ楽園にたどり着きました。そこにはおいしい果物があって、猫もたくさんいてそれなりにかまってくれるし、朝は目玉焼きを食べられるし、男はけっこう優しかった。世間知らずの私にとって、楽園にあるものはどれも新鮮で珍しかったのです。男と私は、最初こそあまり話さなかったものの、同じ時間を過ごすうち、次第に打ち解けていきました。男は何も知らない私にいろいろなことを教えてくれました。ファンデーションはメイク時間の半分を目安に。心が沈んだときは口角を上げる。ウィーウィルウィーウィルロッキュー。いまでも鮮明に思い出せます。どれもかけがえのない宝物。しかし、幸せはそう長く続きませんでした。ある雨の朝、男はやり残したことがあると言い残し私のもとを去っていきました。残された猫と私はいつまでも彼の帰りを待ちました。10匹だった猫はどんどん増えて30匹になりました。私は寝ても覚めても彼のことばかり考えていました。私がもう彼は帰ってこないのかもしれないと思い始めた頃、彼から一通の手紙が届きました。手紙には、彼が元気でいること、まだもう少し時間がかかりそうなことが書いてありました。私は手紙よりも彼のぬくもりが欲しかった。すると、不意に目の前が暗くなりました。誰かが私を目隠ししています。誰? 目隠しの主は言いました。「水漏れは直したよ。2人で暮らそう」幸せの果てにあったのは更なる幸せだったのです。私はうれしくてうれしくてもう何も考えられない程でした。猫たちは幸せをたたえ、口々ににゃーんと鳴きました。東京タワーのイルミネーションが2人を優しく包んでいました。エアコンからはたくさんの水が漏れていました。