ある日のまつげと私

この前、髪を切りに行ったとき、まつげが長いですねと言われた。髪を切っていると暇なので、きっとボーっとしていて思ったことが口に出てしまったのだろう。その人は女性であり、まつげに何かしらのこだわりがある感じがした。その口調はどうもまつげが長くていいですねと羨ましがっているようだったが、私はちょっと邪魔かなというくらいで大して興味もないからそうですかと言った。

同じ女性としてこの感じかたの差はどうだろうと思う。私が思うに、女性にとってまつげの長さとは一種のステータスなのだ。なぜ、あの時少し嬉しそうな顔でありがとうございますと言えなかったのだろう。悔しい。私は女として悔しい。できるなら今からでもあの美容師にどう、私のまつげ?と勝ち誇りたい気持ちでいっぱいだ。そろそろ小学生になるというのに、自分が女であるという自覚のなさに、私はただただ愕然とするばかりである。